■お毛々シスターズ♯10 修行

修行が始まった。
だが陽田はエロビデオや下ネタばかり
でどこが修行なのかわからない。
アンドリューは懐かしいスーパーマリオのファミコンで朝から晩まで遊んでいる。
陽田は特訓と称して私をしつこくからかう。
早朝熟睡している私の顔の上で何度もオナラをして気絶させ、
私が読みかけの馳星周の「鎮魂歌」に官能小説のカバーを掛け、私の靴下を片方だけ隠す。
真剣な顔のまま平気でウソをつき、私がそれを信じると
「バカが見〜る〜ブタのけ〜つ〜_」といってガキのようにはしゃぎ喜んだ。
陽田は結局私から奪い取った小倉優子の写真集を舐めるように眺めながら言った。

「怒りや恐れはダークサイドに引き込まれる元やでー」

「おまえがダークサイドじゃないのか」

プウ。

陽田はまた緊張感を削ぐマヌケな音のオナラをした。
私は鼻をつまみ眉をしかめた。

「なぁ、ジジィ。オレこんなとこで油売ってるヒマなんてないんだ。早く行かないと友達が死んじゃうんだ」
「ワシの教えが必要なんやろ?」
「そりゃそうだけど、ゆっくりしてると友達が死んじゃうんだよ。超短期コースにしてくれよ」
「ええで。割り増しもらうでー」
「なんだキサマ、金とるのか!?」
「当たり前やん。今月は“Re.キューティーハニー”のDVD買わなあかんもん」
「そんなスケベなもんばっか買ってんじゃないよ」
「まあ、あわてんな。今行けば助けれるかもしれへん。だがそれが彼のために、あ、な〜るのかなぁ?」
陽田は私の顔を薄笑いしながら見つめ、芝居じみた口調で言った。
「なるに決まってんだろ。助けを待ってんだよ」

捕らえられたケンジを一刻も助け出さなくてはならない。
しかし、このままの私ではまたしても返り討ちにあってしまうだろう。
平和なお毛々地区には、危険な脇毛地区に同行してくれるような強者はいない。
陽田の助けは必要だ。背に腹は替えられない。

「まぁ、待たんかい」

陽田はそう言うと、腰から銀色の棒状のものを取り出した。
これは映画で見たあのライトセーバーなのか?

「・・・それは・・・その・・・。例の“アレ”か?」
「うんにゃ、トイザラスで買うてきてん」
よく見るとプラスチック製で、“バ●ダイ”と書いていた。
「なんだよ、オモチャか」

「いやいや、兄ちゃん、こらぁ他の使い道もあるんやでぇ。
女のチョメチョメにああして、こうしてな・・・」


「・・・うわさに違わぬ下品ぶりだな、アンタ。真っ昼間から下ネタか」

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