■傭兵の生活

別にいいじゃないか。

こんな時間から飲んでたって。

 

仕事?

 

今日はもう終いだよ。

なくなったんだよ。

終わったんだよ。

 

いや?

 

お払い箱になったわけじゃない。

おまえ、おれの仕事がどんなだか知ってるだろう?

今回も呼ばれて行ったわけだよ。

ところが呼ばれていってっていうのにずっと待機が続いてな。

最初のうちは世間知らずの少尉や
兵卒のカモ見つけて
カードで小銭稼いだりしてたんだが、

それも飽きちまって、

いっそ引退後のこと考えて経営や株の本なんか買ってきて読んでたんだ。

 

ああ。

 

市場に中古がたくさん売ってるんだよ。

あんまり静かな毎日が続くからこんな分厚い本を何冊も読破したぜ。

自分家じゃまず読まないようなちっちゃい字の本さ。

 

そんな感じでヒマつぶしながら待ってたんだがな、

さすがに持てあましてアクビが絶え間ないようになったその頃に

 

「戦闘はないからもう帰っていい」

って言うんだよ。

 

でも金は払ってくれるわけだよ。

 

ありがたい話だな。

危険はなし、金は入る、勉強も出来た。

 

最初はありがたいと思うよ。

 

 

ところがそれがずっと続くと

どんどん腕はなまっちまうし、

怖いのは、この平和で退屈な時間の連続に慣れちまって

これが普通だとおもっちまうんだな。

いざ戦闘になって辺りが銃弾と爆煙に包まれだすと
こう文句言いたくなるんだ。

 

 

「なんでオレはこんなことしなきゃならないんだ!?」

 

 

金もらってトラブルを解決しにきてるのにだよ。

それが本来のオレのフィールドなのを忘れるよ。

 

 

オレたち、油断した時が最後なんだろうな、やっぱり。

昨日はうっかり地雷踏みそうになったし、

まぁ最もそれで細切れになったところで代わりはいくらでもいしな。

割り箸だな。

 

しょせん使い捨てなんだよ。

 

保険なんかないし、

明日コロッと逝ってちまっても誰も気にしやしないしな。

 

 

それがおれたち傭兵の生活なのさ。

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