■北京から来たお店-その4

 

自宅の近くにある北京料理屋。

中国人の夫婦が経営している。

何度も日記に書いた“日本語の苦手な、
鬼瓦みたいな顔したおばちゃん”のいる店である。

このおばちゃんと、調理担当の旦那さんはよく奥の厨房で口げんかをしている。

かなり激しく言い合いをするので最初はギョッとするが
慣れるとテレビで流れているどうでもいいポップソングみたいなものだ。
BGMである。
でっかく甲高い声で言い合いをしているので客席にも丸聞こえなのだが、
この日はいつもにも増して激しい口げんかをしていた。

「●◇□△××△◇●◎▼▲・□××!!」

「◇□・・△×●×△◎●◎▲・□◎×!!」

「マーーー!!」

「マーーー!?」

“マー”だけは耳に残るww

中国人は一様に声がでかく、言葉自体の響きも甲高いものだから、
同じ言葉がループされるとおかしくてしょうがない。

 

このおばちゃんは必ず「アリガトゴザマチタ」を“一人につき最低2回”言う。
日本語が苦手な分、知っている言葉を何度も言うことで誠意を表しているのだろう。

誠意のある人は、すなわちいい人である。
鬼瓦みたいな顔してても実はいい人なのだろう。

今日のお昼時、この店はめずらしく満席で、その中には10人くらいのグループがいた。

 

「10人もいたら挨拶の言葉はどうするつもりなんだろう・・・」

・・・とボンヤリ思ってたら、
その10人のグループが一斉に立ち上がり勘定を済ませようとした。
おばちゃんはレジのところにトットコ走っていくと客が金を出す。
全員が定食なので各々750円づつ払っていく。

すると店内のおばちゃんの甲高い声が響き渡った。

 

「アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

 アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!

  アリガトゴザマチター! アリガトゴザマチター!(オマケ)」

 

「ブホッッ!!」

奥の席に座っていた女性も思わず吹き出した。

 

・・・一人2回・10セット!! オマケ付き(笑)

まさか人数分キッチリ言ってのけるとは・・・・ww

 

・・・ね、いい人でしょw

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